特徴的な打者たち

　ここに挙げる指標は作為的に成績の一部を切り取ったもので、必ずしも高かったら勝利に貢献しているとかいうことが言えるものではありませんが、打者にも色々なタイプがいることが数字的にわかり面白い側面があります。

　200打席以上の中から特徴的な打者らを抜き出してみました。

　まずは安打のうち長打が多い打者を表すIsoP（長打率－打率）。安打が全てシングルヒットならゼロで、確実性が低かろうとも長打を打つ特性を持っていれば高く出るので長打力の才能を見るのに適しています。平均は.130程度。

　

2008年度IsoPトップ5

パ・リーグ	打率	長打率	出塁率	IsoP	セ・リーグ	打率	長打率	出塁率	IsoP
中村 剛也	.244	.569	.320	.324	村田 修一	.323	.665	.397	.342
ローズ	.277	.583	.394	.307	ラミレス	.319	.617	.373	.297
ボカチカ	.251	.556	.344	.305	吉村 裕基	.260	.525	.313	.264
カブレラ	.315	.593	.394	.278	小笠原 道大	.310	.573	.381	.263
Ｇ．Ｇ．佐藤	.302	.546	.368	.245	タイロン・ウッズ	.276	.527	.377	.251

　

　そして「出塁率－打率」で求めるIsoDは四死球での出塁の多さを表します。平均は.060程度。

　

2008年度IsoDトップ5

パ・リーグ	打率	長打率	出塁率	IsoD	セ・リーグ	打率	長打率	出塁率	IsoD
ローズ	.277	.583	.394	.117	ガイエル	.200	.396	.306	.106
渡辺 直人	.251	.283	.354	.103	タイロン・ウッズ	.276	.527	.377	.101
福浦 和也	.252	.290	.352	.101	福川 将和	.207	.332	.306	.098
山崎 武司	.276	.471	.372	.095	谷繁 元信	.234	.307	.325	.091
ベニー	.283	.401	.378	.095	嶋 重宣	.309	.439	.394	.085

　

　「打率は低いけど当たればデカイ魅力のある打者」に比べて「打率は低いけど四球を選ぶ打者」は見た目で目立ちにくいような気もするので、IsoDによる出塁率の高さは意外かもしれません。

　打率だけでは表れない要素（長打、四球、盗塁）をまとめて表すのがSecA（第二の打率）です。平均は.230程度。

　

　SecA = （塁打－安打＋四球＋盗塁－盗塁刺）／打数

　

2008年度SecAトップ5

パ・リーグ	打率	長打率	出塁率	SecA	セ・リーグ	打率	長打率	出塁率	SecA
ローズ	.277	.583	.394	.501	村田 修一	.323	.665	.397	.452
中村 剛也	.244	.569	.320	.427	タイロン・ウッズ	.276	.527	.377	.408
ボカチカ	.251	.556	.344	.406	ラミレス	.319	.617	.373	.370
カブレラ	.315	.593	.394	.401	小笠原 道大	.310	.573	.381	.367
橋本 将	.311	.536	.404	.389	金本 知憲	.307	.527	.392	.366

　

　SecAの高い打者は打率だけで評価する場合に真価との誤差が大きくなる打者であることになります。

　逆にSecAの非常に低い打者らは「打率の通り」の働きであることになり、これはこれで逆に特徴的だとも言えそうです。

　

2008年度SecAワースト5

パ・リーグ	打率	長打率	出塁率	SecA	セ・リーグ	打率	長打率	出塁率	SecA
稲田 直人	.222	.238	.254	.065	東出 輝裕	.310	.337	.341	.082
鶴岡 慎也	.210	.278	.247	.113	石川 雄洋	.243	.309	.262	.108
坂口 智隆	.278	.339	.310	.122	宮本 慎也	.308	.355	.354	.109
大村 直之	.302	.363	.337	.131	矢野 輝弘	.275	.358	.305	.124
川崎 宗則	.321	.394	.350	.134	石井 琢朗	.262	.308	.327	.129

　

　SecAが低く打率の高い打者は、悪い言い方をすると打率の見栄えばかりよくてその裏にさらなる貢献が隠されていない、と受け取れます。

　しかし打率の高い打者は大体それによってある程度の出塁率を稼げているので、隠れていようがいまいが出塁率を叩き出せればそれでいいと言え、それが冒頭に書いたようにこれらの数字が貢献の高さを表しているわけではないという所以です。

　

　

　最後に、運の要素が大きく作用しているかもしれないBABIP。トップ5とワースト5を見てみます。

　ここに名を連ねる打者は来年以降平均のほうに寄る動きを見せるかもしれません（高い打者は成績を落とし、低い打者は成績を上げる）。

　実力である可能性も大いにありますが。

　

2008年度BABIPトップ5＆ワースト5

パ・リーグ	打率	長打率	出塁率	BABIP	セ・リーグ	打率	長打率	出塁率	BABIP
中島 裕之	.331	.527	.410	.376	内川 聖一	.378	.540	.416	.397
根元 俊一	.296	.430	.369	.359	福地 寿樹	.320	.449	.366	.375
橋本 将	.311	.536	.404	.357	赤星 憲広	.317	.347	.398	.373
中島 俊哉	.315	.466	.397	.349	新井 貴浩	.306	.454	.371	.373
リック	.332	.477	.365	.349	青木 宣親	.347	.529	.413	.363
パ・リーグ	打率	長打率	出塁率	BABIP	セ・リーグ	打率	長打率	出塁率	BABIP
大松 尚逸	.262	.499	.316	.263	金城 龍彦	.247	.339	.297	.268
中村 剛也	.244	.569	.320	.257	谷繁 元信	.234	.307	.325	.265
鶴岡 慎也	.210	.278	.247	.255	高橋 由伸	.236	.462	.322	.262
高谷 裕亮	.180	.233	.246	.244	福川 将和	.207	.332	.306	.243
稲田 直人	.222	.238	.254	.238	ガイエル	.200	.396	.306	.210

　※BABIPは分母に犠飛を含める式で算出

　

トップ

---