捕手守備評価
 捕手の守備を、記録された成績から得点化しました。
 盗塁阻止・捕逸・失策の成績をリーグの平均的な捕手と比較しそれらの多さ・少なさに得点価値をかけるという方法です。肩やキャッチング、プレーの確実性といったものが評価されることになります。
 具体的に言えば、例えば平均的な捕手が1000イニングで6の捕逸を記録するときに1000イニングを3つの捕逸で乗り切ったとすると、捕逸1つの得点価値は0.27だから3つ分で(捕逸については)0.81の得点を防いだというふうに評価されます。
 日本では捕手の守備について最も重視されるような傾向のあるリード(配球)については一切考慮していません。これに関しては「数値化できんもんはできん」ということで割り切り、表面的な事象のみを評価することとしています。ただし、捕手の配球等が試合にどれほど影響力が持てるかに関して、またそれらに対する世間の評価の正しさに関して管理人は懐疑的であることを申し添えておきます。またクロスプレーのブロックといったものも、純粋に捕手のブロックの差のみで結果が左右されるケースは稀であり無視しても大勢に影響なしと判断しています。
 項目それぞれの係数は以下。

 盗塁阻止評価 = 0.44×盗塁刺−0.19×許盗塁
 捕逸評価 = 0.27×捕逸
 失策評価 = 0.50×失策

 これらを同じイニング数をリーグの平均的な捕手が守る場合と比較して、プラスマイナス得点に変換の後合計。平均的な捕手に比べて何点の利得をもたらしたかを算出しています(守備得点)。
 2005〜2009年の各年度300イニング以上の捕手について。




2010年セ・リーグ捕手守備得点
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2010 G阿部 慎之助137 3.9 -0.1 1.7 5.5
2010 T城島 健司144 2.1 0.9 -0.5 2.4
2010 D谷繁 元信109 2.4 0.2 -0.4 2.2
2010 S相川 亮二120 0.9 -0.6 1.2 1.5
2010 C石原 慶幸118 -0.4 0.4 0.4 0.4
2010 B武山 真吾90 -2.5 0.6 0.0 -2.0
2010 B橋本 将40 -3.1 0.5 -0.3 -2.9


2010年パ・リーグ捕手守備得点
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2010 L細川 亨112 5.3 0.2 -0.3 5.3
2010 F鶴岡 慎也105 3.6 -0.2 0.7 4.0
2010 F大野 奨太87 2.5 0.4 0.7 3.6
2010 H山崎 勝己77 2.6 0.8 -0.7 2.7
2010 L上本 達之73 1.6 0.2 0.7 2.5
2010 Bs日高 剛73 -0.2 0.4 0.3 0.5
2010 E嶋 基宏127 -0.4 -0.3 -0.5 -1.3
2010 M里崎 智也77 -1.9 0.0 0.3 -1.6
2010 M的場 直樹73 -2.8 -0.2 0.1 -2.9
2010 Bs鈴木 郁洋86 -2.9 -0.1 0.1 -2.9
2010 H田上 秀則81 -5.4 -0.7 -0.4 -6.4




 2010年はSMR Baseball Labにアップされた記事と同一の数字にしてあり、本ページ上部の説明とは算出の係数が異なります。よりNPBの実態に即した得点化係数が得られたため、盗塁阻止0.38、許盗塁-0.17、捕逸-0.29、失策-0.30で評価しています。ただしこれでも失策の係数は直接計測したものではなく推定ですし、あくまで暫定的。ただし今後も係数が微妙な変化はしてもそれほど評価結果の傾向は変わらないものと思われます。




パ・リーグ捕手守備評価
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2009 M里崎 智也122 5.8 0.5 -1.0 5.4
2009 E中谷 仁55 3.0 -0.1 0.3 3.3
2009 E嶋 基宏106 0.3 0.4 0.8 1.5
2009 L銀仁朗112 2.7 -0.8 -0.5 1.3
2009 L細川 亨46 0.7 -0.2 -0.3 0.2
2009 F大野 奨太75 -0.2 0.3 0.0 0.1
2009 F鶴岡 慎也121 -1.5 0.4 0.8 -0.3
2009 Bs日高 剛87 -1.7 0.6 0.6 -0.5
2009 Bs鈴木 郁洋57 -1.8 -0.6 -0.5 -2.9
2009 H田上 秀則122 -2.0 -0.6 -1.1 -3.7
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2008 E藤井 彰人87 4.4 0.2 1.2 5.9
2008 L細川 亨133 4.6 -0.6 -0.2 3.8
2008 H高谷 裕亮62 2.2 -0.6 0.6 2.1
2008 H山崎 勝己58 0.8 0.2 0.7 1.7
2008 F鶴岡 慎也95 0.5 -0.1 1.0 1.5
2008 E嶋 基宏85 2.5 -1.1 -1.2 0.2
2008 M里崎 智也69 -0.2 0.5 -0.3 0.1
2008 F高橋 信二59 -1.7 0.3 0.4 -1.1
2008 M橋本 将69 -3.5 0.5 0.2 -2.8
2008 Bs日高 剛129 -3.4 0.9 -0.8 -3.3
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2007 L細川 亨139 5.9 0.1 1.3 7.3
2007 Bs日高 剛107 2.1 0.9 2.1 5.1
2007 E嶋 基宏125 5.7 -2.0 -0.7 3.0
2007 F鶴岡 慎也55 1.2 0.1 0.8 2.0
2007 F高橋 信二104 0.2 0.5 0.8 1.6
2007 M里崎 智也125 1.1 1.5 -1.1 1.5
2007 H田上 秀則78 -1.5 -0.6 0.7 -1.4
2007 H山崎 勝己99 -5.7 1.0 -2.9 -7.7
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2006 L細川 亨99 4.7 0.9 0.2 5.8
2006 Bs日高 剛112 3.7 1.0 0.5 5.3
2006 E藤井 彰人104 2.8 0.5 0.5 3.8
2006 M里崎 智也109 3.4 0.3 -2.2 1.5
2006 H山崎 勝己103 -1.6 -0.2 1.2 -0.6
2006 F高橋 信二76 0.1 -0.2 -0.9 -0.9
2006 H的場 直樹82 -0.7 0.0 -0.6 -1.4
2006 F鶴岡 慎也76 -1.6 -0.2 0.1 -1.7
2006 L炭谷 銀仁朗54 -0.6 -1.5 0.1 -1.9
2006 Eカツノリ50 -9.0 -0.2 0.5 -8.7
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2005 H城島 健司108 4.2 0.4 0.8 5.5
2005 M里崎 智也89 2.5 0.6 0.2 3.3
2005 F高橋 信二49 -0.7 0.2 0.9 0.4
2005 F實松 一成64 0.3 -0.1 -0.2 0.1
2005 M橋本 将68 -0.5 -0.1 0.3 -0.3
2005 Bs日高 剛103 -0.3 0.2 -0.2 -0.3
2005 E中村 武志64 -1.3 -0.1 0.9 -0.5
2005 F中嶋 聡79 -0.6 -0.4 0.2 -0.8
2005 L細川 亨113 -1.5 -0.7 0.7 -1.6
2005 E藤井 彰人111 -1.2 0.4 -1.3 -2.1




セ・リーグ捕手守備評価
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2009 S相川 亮二122 5.0 1.0 1.4 7.4
2009 D谷繁 元信114 0.9 -0.6 2.4 2.7
2009 G鶴岡 一成54 1.9 -0.2 0.6 2.2
2009 G阿部 慎之助107 1.5 0.0 0.5 1.9
2009 C石原 慶幸124 0.2 0.7 -0.7 0.1
2009 D小山 桂司52 0.8 -0.6 -0.1 0.1
2009 B武山 真吾49 -0.5 0.0 0.0 -0.5
2009 T狩野 恵輔122 0.9 0.4 -3.2 -1.8
2009 B細山田 武史87 -5.9 0.0 0.5 -5.4
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2008 T矢野 輝弘116 1.7 0.2 1.5 3.5
2008 G阿部 慎之助122 1.9 0.5 1.0 3.3
2008 D谷繁 元信113 -0.1 0.6 1.1 1.5
2008 B相川 亮二98 0.5 -0.2 0.2 0.5
2008 S福川 将和105 1.8 -0.8 -0.9 0.1
2008 T野口 寿浩55 0.7 -0.5 -0.9 -0.8
2008 G鶴岡 一成55 -1.4 0.2 0.4 -0.8
2008 C石原 慶幸121 -2.3 0.7 -0.1 -1.7
2008 S川本 良平63 -3.0 0.1 -0.8 -3.7
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2007 D谷繁 元信133 4.1 -0.6 1.6 5.1
2007 T矢野 輝弘101 0.2 0.7 1.0 1.9
2007 S福川 将和85 0.3 0.3 0.4 1.0
2007 S川本 良平49 1.3 -0.2 -0.9 0.3
2007 C石原 慶幸86 0.1 0.3 -0.2 0.2
2007 B相川 亮二123 -2.2 1.0 0.5 -0.7
2007 G阿部 慎之助139 -0.2 -0.1 -0.5 -0.8
2007 C倉 義和80 -1.4 0.0 -1.1 -2.5
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2006 G阿部 慎之助128 6.6 -0.3 1.4 7.7
2006 D谷繁 元信138 2.4 0.9 2.6 5.9
2006 T矢野 輝弘132 3.7 0.3 0.0 3.9
2006 B相川 亮二116 -1.4 0.4 0.2 -0.9
2006 C倉 義和82 -1.3 -0.5 0.2 -1.6
2006 C石原 慶幸84 -2.4 0.1 -1.3 -3.7
2006 S米野 智人115 -3.2 -0.1 -3.2 -6.4
年度球団選手試合数 盗塁阻止捕逸失策守備得点
2005 T矢野 輝弘138 4.5 -0.4 1.2 5.3
2005 D谷繁 元信140 2.8 0.2 1.7 4.6
2005 C倉 義和106 3.2 -0.2 0.7 3.6
2005 C石原 慶幸71 1.5 -0.9 -0.5 0.1
2005 S古田 敦也87 -2.2 0.8 1.1 -0.2
2005 S小野 公誠54 -2.3 -0.2 0.9 -1.7
2005 B相川 亮二144 -1.3 0.8 -1.6 -2.1
2005 G阿部 慎之助98 -3.1 1.0 -2.0 -4.1


 激務のわりに出てくる数字のスケールはわりと地味でなんとなく気の毒にも思いますがまぁ仕方ありません。
 無理をすればリードを除く捕手のフィールディングでそれほどの差はつかないようなことを示唆していると見ることもできるのかもしれませんが、この程度の算出法ではいくらでも問題点が思いつくのも事実です。例えばクイックモーションの上手い投手を受けている捕手とそうでない捕手では高い盗塁阻止率を残すのに難易度が異なりますし、自チームに飛びぬけて優秀な走者がいる場合、自身は対戦しなくて済むので有利です。この評価法はそれらの事情を考慮しません。
 なお、各年度多く出場した面々だけの合計を取るとほとんどがプラス。リーグ全体を合計するとゼロになるはずの数字ですからそこに数えられない控えの捕手たちがマイナスを生産している、つまり、やはり多く起用されるような捕手は守備がいいらしいことを示しています(それほど強く言える数字でない上になんらかのバイアスの存在も考えられますが)。

 当初はこのページにおいて盗塁阻止の分を除く補殺数も評価の対象としていましたが、それらは捕手の能力というより与えられた守備機会によるものと判断し2009オフシーズンに除外しました。得点加重も少し変更し、新たな加重は一部MLBの研究に基づいています。MLBの数字をそのままNPBに適用するのは少し危険ですが、XRの結果などを見てもなんだかんだで得点加重に関しては共通した面が多いので、NPBの足りないデータから無理矢理数字をひねり出すよりはプレー毎のデータ解析の進んだMLBの研究より拝借するほうが精度が高いだろうと判断しました。

 MLBの捕手評価研究でよくある中で今回採用していないのは、被盗塁企図数(SBA)と暴投。
 SBA評価は実際に走られたケースでの刺した刺さなかったとは別で守っていたうちどれだけスタートを切られたかについて評価をするものです。強肩で尊敬を集める捕手が本塁を守っている場合攻撃側は容易にスタートを切れず、それだけで攻撃側の動きを封じる効果が発生します。全盛期の古田などにはっきり見られた現象。
 これに対する得点価値は盗塁企図一般の価値や走者を一塁に留めることで併殺を取る確率が増えることの価値などが考慮されますが、私がここでSBAを特に数えていない理由は、それらの加重からなかなか曖昧さを断ち切れないことと含めたとしてほとんどの場合得点化後の数字は小さいものにしかならないことです。
 まぁ後者の理由はだからといって無視するのは乱暴な話なのですが、SBAの得点化をもう少しはっきりさせることは課題かなと。ちなみにここでの評価は盗塁の損益をイニングベースで標準化していますので、例えば同様に盗塁阻止率0.250の捕手が複数いた場合イニングあたりの被企図が多いほうが評価は低くなり、SBAの要素が全く拾われていないわけではありません。
 ちなみに阻止率が高い場合は多く走られるほどプラスとなり、実際にそんなことができるかはともかく机上の理論では「隙を作りあえて走らせておいて刺す」というのは攻撃側の出塁を帳消しにしさらにアウトカウントを得る有効な守備行為となります。見方を変えると、分の悪い盗塁企図はやたらとするべきではないという攻撃の戦術に関する警告になっています。
 暴投に関しては単純に、捕逸と同じ扱いをされることが多いようです。野球規則を見る限り暴投か捕逸かは記録員の主観に左右され、実利と客観を重視する観点からは許した進塁を全て含めたほうがはっきりしますし、捕逸数が同じだとしてその影に存在するかもしれない「暴投を防いだ」分が評価されないのは不公平とも考えられます。もちろん暴投を含めれば投手の責任より捕手が不当に低い評価を被ることも起こり得ますが、捕逸だけならそれが起こっていない保証はありません。主観によるノイズか投手によるノイズか、二者択一なのかもしれません。現在暴投数を評価に採用していないのは捕手個人について暴投が記録されていないからという単純な理由ですが、記録が入手できたときそれを含めるかどうかは悩むところです。




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