チーム守備評価 DER

by Baseball Concrete

 チーム全体の守備力の評価として失点率とDER、守備が平均に比べて防いだ失点数を算出しました。

 DERは本塁打を除くインプレー打球をアウトにした割合で以下のように求められます。

 

 DER = (打席-安打-四球-死球-三振-失策)/(打席-本塁打-四球-死球-三振)

 

 ちなみに守備記録の失策には打球をアウトにするかどうかに関わらないプレーも含まれていて指標の性格からすると本来は除外すべきですが、NPBでは細かいデータが得られないため近似値として計算しています。基本的に数が少ないので大した影響はないはずです。

 守備得点はそのような内容がどのくらい失点として影響するのかを概算してみたもの。

 それにあたって、以前はアウトあたりの許出塁に加重するような計算をしていたのですがそれは不適切だったという認識に改まり、当該の守備陣が平均的な投手陣の後ろを守った場合に失点率は平均と比べてどれだけ変化するかという算出法に変えました(いわばDIPSの逆)。

 不本意ながらちょっと式が長くなってしまいましたが説明をページ下部に載せておきます。守備得点が50なら平均守備陣と比べてシーズンで失点を50少なくする、という意味。

 

 あと書いておかなければならないのは、DERは野手が関与可能性のある部分の評価ではありますが、その結果の責任が全て守備のものとみなされるべきかどうかはよくわからないということです。ボロス・マクラッケンによれば投手側からは「ただの運」と見なせることになりますし実際投手の力で制御するのは非常に難しいと考えざるを得ません。しかし、いくらかは影響しているかもしれないし守備側からしても「ただの運」に近いものである可能性もあります。ボールインプレーで差が生まれること自体は事実でも、それが何によるものかは断定を避けておくのが無難かもしれません。「守備得点」といってもそこはご理解下さい。

 また、この評価は守備陣中心の視点であり平均的な投手陣の後ろを守った場合どうなるか、です。実際には守備が劣っていても投手陣の力量(奪三振率など)で影響を減らせたり、逆にもっと大きくなったりすることが考えられます。

 

年度リーグ球団失点率 DER守備得点
2010 中 日3.65 .700 62
2010 阪 神4.49 .682 6
2010 巨 人4.34 .678 5
2010 ヤクルト4.34 .681 1
2010 広 島5.18 .673 -26
2010 横 浜5.28 .667 -48
年度リーグ球団失点率 DER守備得点
2010 日本ハム3.83 .688 43
2010 ロッテ4.43 .680 9
2010 楽 天4.47 .676 -1
2010 西 武4.52 .677 -7
2010 ソフトバンク4.28 .673 -12
2010 オリックス4.41 .665 -36

 

年度リーグ球団 失点率DER 守備得点
2009 巨 人3.39 .703 32
2009 中 日3.55 .700 20
2009 ヤクルト4.28 .697 3
2009 阪 神3.75 .688 -6
2009 広 島4.04 .685 -13
2009 横 浜4.87 .677 -38
年度リーグ球団 失点率DER 守備得点
2009 日本ハム3.84 .702 50
2009 西 武4.32 .689 15
2009 ソフトバンク4.13 .683 11
2009 楽 天4.25 .683 -6
2009 オリックス5.04 .670 -32
2009 ロッテ4.47 .672 -40

 

年度球団 失点率DER 守備得点年度 球団失点率 DER守備得点
2008 日本ハム3.81 .714 77 2008 ヤクルト4.02 .69835
2008 オリックス4.25 .683 -4 2008 広 島4.17 .68613
2008 西 武4.34 .676 -9 2008 巨 人3.74 .6832
2008 ロッテ4.57 .679 -18 2008 阪 神3.65 .682-12
2008 ソフトバンク4.45 .677 -19 2008 横 浜5.07 .682-14
2008 楽 天4.26 .671 -31 2008 中 日3.92 .676-26
年度球団 失点率DER 守備得点年度 球団失点率 DER守備得点
2007 日本ハム3.42 .721 88 2007 ヤクルト4.46 .69120
2007 ソフトバンク3.54 .696 29 2007 中 日3.91 .68917
2007 西 武4.16 .691 7 2007 広 島4.73 .68814
2007 ロッテ3.64 .682 -14 2007 巨 人3.88 .6918
2007 オリックス4.10 .676 -38 2007 阪 神3.92 .674-30
2007 楽 天4.78 .654 -79 2007 横 浜4.43 .669-32
年度球団 失点率DER 守備得点年度 球団失点率 DER守備得点
2006 日本ハム3.33 .701 42 2006 中 日3.39 .69934
2006 オリックス4.25 .695 20 2006 広 島4.54 .68722
2006 西 武4.09 .688 8 2006 阪 神3.51 .6834
2006 ソフトバンク3.48 .689 1 2006 巨 人4.14 .681-5
2006 ロッテ4.19 .676 -26 2006 横 浜4.63 .673-25
2006 楽 天4.83 .668 -48 2006 ヤクルト4.45 .671-31
年度球団 失点率DER 守備得点年度 球団失点率 DER守備得点
2005 ロッテ3.50 .712 70 2005 横 浜4.07 .69550
2005 オリックス4.35 .685 20 2005 ヤクルト4.15 .69537
2005 ソフトバンク3.71 .691 18 2005 阪 神3.62 .6797
2005 日本ハム4.46 .680 2 2005 広 島5.45 .664-20
2005 西 武4.76 .677 -24 2005 中 日4.35 .669-33
2005 楽 天6.14 .656 -90 2005 巨 人5.10 .667-45

 

 チーム守備得点 計算方法

 いちいち日本語で打って変換するのだるくなってしまったのでアルファベットですみません。

 「lg○○」っていうのは「リーグ平均の~」ということで見て下さい。

  1. リーグの平均的な奪三振率、与四死球率、被本塁打率、インプレー率を計算する。

    lgK%=lgSO/lgPA
    lgBB%=(lgBB+lgHBP)/lgPA
    lgHR%=lgHR/lgPA
    lgBIP%=1-lgK%-lgBB%-lgHR%

  2. 各チーム固有の守備成績から投手が平均的な場合の被安打やアウト率を推定する。

    H%=lgBIP%*((H-HR)/(PA-HR-BB-HBP-SO))+lgHR%
    TB%=1.23*lgBIP%*((H-HR)/(PA-HR-BB-HBP-SO))+4*lgHR%
    Out%=lgK%+lgBIP%*((IP*3-SO)/(PA-HR-BB-HBP-SO))
    PA=27/Out%

  3. 求まった推定被打撃成績を得点推定式(Base Runs)に入れる。

    A=H%-lgHR%+lgBB%
    B=1.4*TB%-0.6*H%-3*lgHR%+0.1*lgBB%
    C=Out%
    D=lgHR%

    eRA=(A*(B/(B+C))+D)*PA

  4. 期待失点率をリーグ平均と比較してシーズンあたりの利得を求める。
    守備得点=(lgeRA-eRA)*(lgIP/9)
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