総合評価
各評価の統合、総合評価へ
 打者の攻撃力の評価、投手の守備から独立した評価、守備位置ごとの守備者の評価などについて別項にてそれぞれ紹介しています。
 ここで、ある種の究極的な問題として私たちの前に立ちはだかるのは、それぞれの評価を統合し結局ある野球選手一人がどれだけチームの勝利に貢献したかの総合的な評価というものは可能なのだろうかという問いです。
 これについてはやはり多くのセイバーメトリシャンが挑んでおり、選手評価の最終形態として力の入ったメソッドが色々と発表されています。管理人としても、納得がいく自分なりの総合評価法を構築するのはひとつの小さな夢であります。
 当サイトでは実際総合評価を試みようというわけですが、少し先人の総合評価について紹介しておきましょう。


Win Shares
 セイバーメトリクスの祖ビル・ジェイムズによる、総合評価について書くならばまずはこの名前を出さなければならないであろうという有名な総合評価法。
 Win Sharesでは、まずこう考えます。仮にあるチームの勝利数が74だとする、それならば、そのチームに所属する全員の勝利貢献分を集めたら74になる(べき)だろうと。つまりは貢献に応じて74の勝利をシェアしていくということで、Win Sharesという名前はそれを表しています。各選手がどれだけの比率で貢献しているかは、RCなど従来のメソッドを使って導き出します。最終的には勝利貢献をゼロから積み上げた値の3倍で出力されます(7勝分貢献した選手ならWSは21)。
 守備にもゾーンレイティングなど新しい評価基準を使わないことにより歴史上の多くの選手に適用して、歴代で最も勝利に貢献した選手は誰かといったランク付けを可能にしています。
 批判(ツッコミ)は多くあるのですが、議論の対象となり得るような現物をドーンと提示してみせるのはさすがにセイバーメトリクスの生みの親といった感じで、受けた多くのツッコミを含めてビル・ジェイムズの功績という考え方もできるかもしれません。少し話が逸れました。


Total Player Rating
 ピート・パルマーにより1980年代には発表されていた、ある種古典的な総合評価。Pitching Runs、Batting Runs、Basestealing Runs、Fielding Runsの線形加重(LWTS)システムを用いて打撃や守備で平均に比べ何点稼いだかを評価し合計するというのが基本的な考え方です。
 Win Sharesが貢献した勝利数をゼロから積み上げるのに対し、このTotal Player Ratingでは平均から傑出してはじめて正の値になり、悪い選手はマイナスの値、平均的な選手はゼロになるようになっています。また実際のチームの勝利数を使った補正をしているわけではないのでチーム各選手の貢献分とチームの勝利マージンは必ずしも一致しません。このあたり色々と考え方の違いが現れており、面白いところだなと感じさせられます。
 Batting Runsなど今でも生きている評価法の最終形として非常に有名ではありますが、Fielding Runsがもはや欠陥だらけで古いことや平均的な選手にも価値はあるのにゼロと出るのはどうなんだといった批判が存在します。


Wins Above Replacement
 上記2つに比べるとかなり新しい、FanGraphsというウェブサイトで発表されている総合評価(ただし「Wins Above Replacement」という用語自体は「控え選手と比べての勝利貢献」を表す一般的なものであり、他にも同じ名前の指標は存在します)。
 複数のセイバーメトリシャンの協力により、緻密で強力なメソッドを取り込んでいます。打撃や投手の評価については従来からある指標を基本としているのですが、守備はゾーンレイティングベースのUZRという非常に強力な解析を使用しており、また守備位置ごとの難易度の差による補正や代替可能水準の選手を出場させた場合と比べての利得がいくらになるかといったことを求めています。
 さらに意地が悪くも(?)サラリーと勝利貢献との対比というものまで算出している点がMLBらしいところ。
 守備の部分だけで注目しても、その確からしさはWin SharesやTotal Player Ratingを突き放していると言ってもいいでしょう。ただしUZRを個人で算出することは不可能なので、WARも個人では算出不能ということになります。それほど過去まで遡って各選手の結果が公表されているわけでもありません。




Baseball Concrete的総合評価
 さて、当サイトの総合評価です。
 上で紹介したような先人の案から色々と学びつつ、データの乏しい日本プロ野球にも比較的簡単に適用できる総合評価法を考えてみました。
 各選手の貢献を打撃・守備・投球等を統合した勝利数というひとつの数字で表し、全選手を一挙にランク付け。私は貢献の「量」が直感的にわかりやすいということから基本的に結果はビル・ジェイムズのようにゼロから積み上げる数字で表すこととし、打撃・守備・投球を総合しているという意味と勝利数全体を表すという意味でこれをTotal Winと呼ぶことにしました。
 当サイトの打者評価・投手評価・守備評価の各ページは既存の手法の紹介を基本としたつもりですが、ここでは自分の好みを押し出していこうかなと思います。







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