用語解説
 セイバーメトリクスの指標・用語は内容的にすぐには馴染みにくかったり横文字であることもあり覚えにくい面があるということで、指標の説明をひとまとめにしたページを作ることにしました。どのような意味で読むものかをあまり堅苦しい表現を使わずに書こうとしていますので、深く詳しく情報を網羅することは意識していません。悪しからず。当サイト(あるいは他のセイバーメトリクス関係サイトや書籍でも)を見ていて「この指標、どういう意味だったっけ?」と思ったときに手っ取り早く参照できるようなものになればいいかなと思いますが、わかりにくかったらすみません。


 一般
 セイバーメトリクス  パークファクター  マネー・ボール  得点期待値  LWTS  リプレイスメント・レベル
 打撃指標
 打率  出塁率  長打率  OPS  RC  RCAA  RC27  XR  XR+  XR27  BR  BsR  IsoP  IsoD  BABIP  wOBA  wRAA  wRC
 投手指標
 RSAA  WHIP  DIPS  FIP
 守備指標
 DER  RF  RRF  ゾーンレイティング  プラスマイナスシステム  UZR
 その他
 ピタゴラス勝率  RPW  WS  WAR
 統計用語
 平均  標準偏差  相関関係




セイバーメトリクス (Sabermetrics)

 ビル・ジェイムズという人物によって提唱された、野球についての客観的・統計的な研究のこと。
 当初はファンの趣味として始まったが、現在ではメジャーリーグの球団の多くがコンサルタントを雇いセイバーメトリクスの分析をチーム運営に活用している。




パークファクター (Park Factors,PF)

 球場の特性が野球の試合に及ぼす影響、またはそれを特定の面について数値化したもの。
 最もよく利用されるパークファクターは得点あるいは本塁打についてのもの。あるチームのA球場での「得点+失点」がその他の球場での「得点+失点」より1割多い場合、A球場の得点パークファクターは1.100となる。1.000を標準として、1より大きければ得点(または本塁打やその他対象の項目)が記録されやすい球場であり、1を下回っていれば得点が記録されにくい球場であることを意味する。
 異なる環境下でプレーする選手同士を比較するために指標の補正等に使用される。
 この数字は概念的にはプレーするチームの特性に影響されることはない(例えば貧打のチームがプレーしているからといって低く出るわけではない)。

 《計算式》※得点パークファクターの場合
 (本拠地球場での試合あたり得点+失点)÷(他球場での試合あたり得点+失点)

 関連ページ:パークファクター




マネー・ボール (MONEY BALL)

 マイケル・ルイスが著した書籍で、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスが乏しい資金力ながらセイバーメトリクスを用いた先進的な選手評価で効率的に多くの勝利を稼ぐ様子や、それにまつわる人々の人間ドラマを記したノンフィクション。
 出塁率の重要性、犠打と盗塁の価値のなさ、DIPSによる投手評価などセイバーメトリクスの重要な考え方が多く書かれており、そして何よりセイバーメトリクスがプロ野球の現場で活躍すること、これまで脚光を浴びなかった「本当は優れた選手」がセイバーメトリクスにより注目され活躍する姿が感動的に描かれている。




得点期待値 (Run Expectancy)

 特定のアウト・走者状況から、イニングが終了するまでに平均的に何得点が期待されるかを統計的に数値化したもの。
 一例としてジョージ・リンゼイが1963年に発表したとされるメジャーリーグの得点期待値は以下。

アウト\走者走者無し一塁二塁三塁一・二塁一・三塁二・三塁満塁
無死0.461 0.813 1.194 1.390 1.471 1.940 1.960 2.220
一死0.243 0.498 0.671 0.980 0.939 1.115 1.560 1.642
二死0.102 0.219 0.297 0.355 0.403 0.532 0.687 0.823
 出典:J.アルバート・J.ベネット 『メジャーリーグの数理科学 上』 後藤寿彦監修、加藤貴昭訳、シュプリンガー数学リーディングス、2004年、219頁
 ただし表の形式は変更している


 特定の出来事が起きる前と起きた後の得点期待値を比較することで特定の出来事が持つ得点価値を導き出すことができ、こういった手法は戦術の考察から選手の評価まで非常に幅広い応用範囲がある。例えばBRなどは得点期待値から生まれた打撃評価指標。
 この値はあくまでも平均であり、優れた投手が投げている場合などは必ずしも適合するわけではない点に注意が必要。当然対象とする年度・リーグごとに数値は微妙に異なる。

 関連用語:LWTS BR




LWTS (Linear Weights)

 ピート・パーマーらが開発した各種の事象にそのものが持つ一定の価値を加重する評価方式。線形加重。
 基本的にLWTSは得点期待値と深い関連がある。例えばBRはLWTSの打撃評価であり、打撃のイベントごとに平均的な得点期待値の変化を価値として付与する。あるいは、回帰分析を由来とするがXRも同類の方式と言える。
 LWTSを用いた評価は内容がわかりやすく算出も容易であり、それでありながら多くの場合で十分に正確な評価を可能とするため広く利用される。
 ただし「野球は線形ではない」という批判は存在する。四球が増えれば塁上の走者が増えるため本塁打などの価値も上がるといったように野球のそれぞれの出来事は相互依存的に影響し合っており、また投打の力関係が変われば全体の傾向も変わってくるため、BRXRが示すように各出来事がそれぞれに独立した一定の価値を持っているわけではない。これらの要素を考慮に入れた非線形のモデルとしてはBsRRCが挙げられる。

 関連用語:得点期待値 BR
 関連ページ:打撃総合指標について




リプレイスメント・レベル (Replacement Level)

 選手の価値を評価する際に基準として用いられる水準。いくつかの定義が存在するが一般的に、レギュラーの選手が怪我をした場合に余計なコストを支払わずに用意することができる代替選手の能力水準のことをいう。
 MLBの算定ではリプレイスメント・レベルの選手でチームを構成した場合得点率は平均の80%程度、失点率は平均の120%程度、勝率は.300程度となる。

 関連ページ:リプレイスメント・レベル概論




打率 (Batting Average)

 打数のうちの安打の割合を表す。
 一般的には打撃の指標として最も浸透しているが、セイバーメトリクスにより有用性の低さが指摘された。
 打率を打者の得点力を表す指標として使うには (1)四死球を無視している (2)長打を区別しない という大きなふたつの欠点があり、得点との相関関係の強さは出塁率長打率のいずれにも劣る。

 《計算式》
 打率=安打÷打数




出塁率 (On-base Percentage)

 犠打・インターフェアを除く打席のうち、アウトにならず出塁した割合を表す指標。
 出塁し進塁することにより得点を上げる野球という競技においては出塁率は根本的な必要条件となる数字。また、マネー・ボールに描かれたアスレチックスが選手獲得の指標として重視したことから特に注目された。
 平均は.330前後。.400を越えればリーグ最高レベル。

 《計算式》
 出塁率=(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)

 派生:OPS



長打率 (Slugging Average)

 1打数あたり、平均していくつの塁打を得たかを表す指標。
 塁打とは「1×単打+2×二塁打+3×三塁打+4×本塁打」で、打者が進む塁の数で加重した安打数と言える。安打が全て単打の場合、長打率は打率に等しくなる。長打のみを考慮しているわけではない。
 平均は.400前後。

 《計算式》
 長打率=塁打÷打数

 派生:OPS



OPS (On Base plus Slugging Percentage)

 打者が得点増に有効な打撃をしているかどうかを表す指標。数値が高いほどチームの得点増に貢献している打者だと判断できる。
 出塁率と長打率を足すだけで簡単に求められるわりに得点との相関関係が非常に強いことが特徴で、広く利用されている。
 四死球・単打・二塁打・三塁打・本塁打それぞれの加重バランスがXRなど統計的に合理性のある指標と近似性を持つ。
 平均は.730前後。

 《計算式》
 OPS=長打率+出塁率

 関連用語:出塁率 長打率
 関連ページ:得点力評価の前提




RC (Runs Created)

 打者が創出した総得点。
 RCが50ならその打者が得点50を生み出したということであり、チームとしてのRCは実総得点と近しくなる。
 打席数が多いほど多くのRCを稼ぐ機会が与えられていることになるので同じような機会数を仮定して得点創出の能率を複数の選手間で比較する場合はRCを打席数やアウト数で割る必要がある。

 『マネー・ボール』で紹介された得点公式「(安打+四球)×塁打÷(打数+四球)」はRCのBasicバージョンであり、簡単には出塁率×塁打でも求められる。
 2002年バージョンは以下。

 《計算式》
 RC = {(A+2.4×C)×(B+3×C)÷(9×C)}−0.9×C
  A = 安打+四球+死球−盗塁死−併殺打
  B = 塁打+{0.24×(四球−故意四球+死球)}+0.62×盗塁+{0.5×(犠打+犠飛)}-0.03×三振
  C = 打数+四球+死球+犠打+犠飛


 類似:XR BsR
 派生:RCAA RC27

 関連ページ:打撃総合指標について得点力評価の前提偉大なるRuns Created




XR (eXtrapolated Runs)

 (計算方法は全く異なるものの大まかな意味としてはRCと同じ)
 打者が創出した総得点。
 XRが50ならその打者が得点50を生み出したということであり、チームとしてのXRは実総得点と近しくなる。
 打席数が多いほど多くのXRを稼ぐ機会が与えられていることになるので同じような機会数を仮定して得点創出の能率を複数の選手間で比較する場合はXRを打席数やアウト数で割る必要がある。
 なお、フルバージョンから多少簡易的なものまで主に3種類バリエーションが存在する。

 《計算式》
 XR = 0.50×(安打−二塁打−三塁打−本塁打)+0.72×二塁打+1.04×三塁打+1.44×本塁打
    +0.34×(四球−故意四球+死球)+0.25×故意四球+0.18×盗塁−0.32×盗塁死
    −0.09×(打数−安打−三振)−0.098×三振−0.37×併殺打+0.37×犠飛+0.04×犠打

 XRR(Extrapolated Runs Reduced) = 0.50×(安打−二塁打−三塁打−本塁打)+0.72×二塁打+1.04×三塁打+1.44×本塁打
    +0.33×(四球+死球)+0.18×盗塁−0.32×盗塁死−0.098×(打数−安打)

 XRB(Extrapolated Runs Basic) = 0.50×(安打−二塁打−三塁打−本塁打)+0.72×二塁打+1.04×三塁打+1.44×本塁打
    +0.34×四球+0.18×盗塁−0.32×盗塁死−0.096×(打数−安打)


 類似:RC BsR
 派生:XR+ XR27
 関連ページ:打撃総合指標について得点力評価の前提




RCAA (Runs Created Above Average)

 同じ打席数をリーグ平均の打者が打つ場合に比べてどれだけ多く(または少なく)得点を生み出したか。
 平均的な打者で0となり、プラスの値なら平均より優れている打者、マイナスの値なら平均より劣る打者。
 RCAAが+5の打者がいた場合、もしチームがその打者が担った打席分を平均的な打者に打たせていたら得点が5減っていただろう、という意味。
 計算上打席数が多いほどに絶対値が大きくなる(仮に極めて優れた打者でも打席数が10や20では大きな値を出すことは難しい)ので機会数を標準化して比較したい場合は別途計算が必要。

 《計算式》
 RCAA = 対象打者のRC−(リーグの打席あたりRC×対象打者の打席数)

 類似:XR+ BR




XR+ (eXtrapolated Runs Plus)

 同じ打席数をリーグ平均の打者が打つ場合に比べてどれだけ多く(または少なく)得点を生み出したか。
 平均的な打者で0となり、プラスの値なら平均より優れている打者、マイナスの値なら平均より劣る打者。
 XR+が+5の打者がいた場合、もしチームがその打者が担った打席分を平均的な打者に打たせていたら得点が5減っていただろう、という意味。
 計算上打席数が多いほどに絶対値が大きくなる(仮に極めて優れた打者でも打席数が10や20では大きな値を出すことは難しい)ので機会数を標準化して比較したい場合は別途計算が必要。

 《計算式》
 XR+ = 対象打者のXR−(リーグの打席あたりXR×対象打者の打席数)

 類似:RCAA BR




BR (Batting Runs)

 同じ打席数をリーグ平均の打者が打つ場合に比べてどれだけ多く(または少なく)得点を生み出したか。
 平均的な打者で0となり、プラスの値なら平均より優れている打者、マイナスの値なら平均より劣る打者。
 BRが+5の打者がいた場合、もしチームがその打者が担った打席分を平均的な打者に打たせていたら得点が5減っていただろう、という意味。
 計算上打席数が多いほどに絶対値が大きくなる(仮に極めて優れた打者でも打席数が10や20では大きな値を出すことは難しい)ので機会数を標準化して比較したい場合は別途計算が必要。

 ここではピート・パルマーが整理した指標を指すが、Batting Runsという用語自体は広義なものとして全く異なる計算法で導き出された値にも利用されることはある。また、近年はリプレイスメント・レベル(代替可能な水準)と比較してのBRAR(Batting Runs Above Replacement)という指標もあり、それと対比・区別する意味でBRAA(Batting Runs Above Average)と表記されることもあるが、意味としては同じ。

 《計算式》
 BR = 0.47×単打+0.78×二塁打+1.09×三塁打+1.40×本塁打+0.33×(四球+死球)+0.22×盗塁−0.38×盗塁死−ABF×(打数−安打)
  ABF = リーグ全体の(0.47×単打+0.78×二塁打+1.09×三塁打+1.40×本塁打+0.33×(四球+死球))÷(打数−安打)

 類似:RCAA XR+
 関連ページ:打撃総合指標について




BsR (Base Runs)

 David Smythにより開発された得点推定式。対象の打撃成績から何得点が期待されるかを出力する、RCと同様の役割の指標。
 式は「出塁数×出塁した走者が得点する確率+本塁打」という形で、打者が出塁し出塁と進塁が集中していくほどに走者が生還し本塁打は本塁打の分絶対的に点が入るという野球の構造を考慮した論理的な組成となっている。
 チームの総得点を予測する精度が非常に高いことで知られるが、打線の得点環境を考慮する積算モデルであるため打者個人の得点創出の算出に使うには補正が必要。

 《計算式》
 BsR = A×{B/(B+C)}+D
  A = 安打+四球+死球−本塁打−0.5×故意四球
  B = {1.4×塁打−0.6×安打−3×本塁打+0.1×(四球−故意四球+死球)+0.9×(盗塁−盗塁刺−併殺打)}×1.1
  C = 打数−安打+盗塁刺+併殺打
  D = 本塁打

 類似:RC
 関連ページ:打撃総合指標について得点力評価の前提




RC27 (Runs Created per 27 outs)

 ある打者が一人で打線を組んだ場合の1試合(27アウト)あたりの得点数。
 アウトにならない間にいかに得点数を稼ぐかという野球の形式が表されており、アウト数で標準化されているので出場数の異なる複数の打者の得点創出能力を比較するような場合RCの値そのままよりもこちらのほうが適切。

 《計算式》
 RC27 = RC÷(打数−安打+盗塁死+犠打+犠飛+併殺打)×27

 類似:XR27




XR27 (eXtrapolated Runs per 27 outs)

 ある打者が一人で打線を組んだ場合の1試合(27アウト)あたりの得点数。
 アウトにならない間にいかに得点数を稼ぐかという野球の形式が表されており、アウト数で標準化されているので出場数の異なる複数の打者の得点創出能力を比較するような場合XRの値そのままよりもこちらのほうが適切。

 《計算式》
 XR27 = XR÷(打数−安打+盗塁死+犠打+犠飛+併殺打)×27

 類似:RC27




IsoP (Isolated Power)

 打者の長打力を表す指標。
 安打を打つ確率が低くても長打が多ければある程度高く出るので打者としての総合的な優劣ではなく長打力だけを浮き上がらせる目的で使用される。
 安打が全てシングルヒットの場合は0になる。平均は.130程度。

 《計算式》
 IsoP = 長打率−打率  または  IsoP = (塁打−安打)÷打数

 関連用語:長打率 打率




IsoD (Isolated Discipline)

 四死球での出塁の多さを表す指標。
 安打による出塁の分は減算されるため、打者の総合的な貢献の高さを表す指標ではなくタイプを表す指標。
 平均は.060程度。

 《計算式》
 IsoD = 出塁率−打率

 関連用語:出塁率 打率




BABIP (Batting Average on Balls In Play)

 本塁打を除くフェア打球が安打になった割合。
 選手ごとのBABIPを見ると「しぶとく野手の間を抜く」などの技術の存在を認める従来の価値観と異なり非常にランダム的な変動が大きい上に大局的にはどの選手も似たような範囲に落ち着くため運の要素が大きいとされ、旧来の言説と異なるセイバーメトリクス的な主張において何かとキーワードになる。
 ボロス・マクラッケンは投手の被BABIPが年度ごとに極めて不安であることから、本塁打を除くインプレー打球がアウトになるか否かは投手の責任ではないとするDIPSの理論を提唱した。
 BABIPを3割とするとそれを1から引いた残りの7割は打球を守備がアウトにした割合であり、これはDERという名称でチームの守備の指標として利用される。

 《計算式》
 BABIP = (安打−本塁打)÷(打数−三振−本塁打+犠飛)  ※分母に犠打を加える等バリエーションあり

 類似:DER




wOBA (Weighted On Base Average)

 打者が打席あたりにどれだけチームの得点増に貢献しているかを評価する指標。
 LWTSの原理に基づいて各種のイベントに重みを与え打席数で割ることで計算される。
 出塁の価値を全て均一とみなす出塁率よりも打撃の貢献を総合的に表し、加重が統計的な根拠に基づいていることからOPSよりも適切に打撃の価値を評価する。
 数字のスケールは出塁率に合うように設計されているため、平均的な打者で.330程度になる。

 《計算式》
 wOBA = (0.72×(四球−故意四球)+0.75×死球+0.90×単打+0.92×失策出塁+1.24×二塁打+1.56×三塁打+1.95×本塁打)/打席  ※解析の目的に応じて分母の打席数からは犠打、故意死球等を除く

 関連用語:wRAA wRC




wRAA (Weighted Runs Above Average)

 同じ打席数をリーグ平均の打者が打つ場合に比べてどれだけ多く(または少なく)得点を生み出したか。wOBAに基づいて計算される。
 平均的な打者で0となり、プラスの値なら平均より優れている打者、マイナスの値なら平均より劣る打者。
 wRAAが+5の打者がいた場合、もしチームがその打者が担った打席分を平均的な打者に打たせていたら得点が5減っていただろう、という意味。
 計算上打席数が多いほどに絶対値が大きくなる(仮に極めて優れた打者でも打席数が10や20では大きな値を出すことは難しい)ので機会数を標準化して比較したい場合は別途計算が必要。

 《計算式》
 wRAA = (wOBA−リーグ平均wOBA)/1.15×打席

 類似:RCAA XR+ BR
 関連用語:wOBA wRC




wRC (Weighted Runs Created)

 打者が創出した得点数。
 数値が高いほどチームに多くの得点をもたらしており貢献している打者だと言える。
 打席数が多いほど多くのwRCを稼ぐ機会が与えられていることになるため単純に能率の比較はできない。
 打席あたりの貢献の高さはwOBAで、平均的な打者に対してどれだけ利得をもたらしたかはwRAAで評価する。

 《計算式》
 wRC = ((wOBA−リーグ平均wOBA)1.15+リーグ総得点/リーグ総打席)×打席

 関連用語:wOBA wRAA




RSAA (Runs Saved Above Average)

 同じイニング数を平均的な投手が投げる場合に比べてどれだけ失点を防いだか。
 ある投手が100イニングを40失点で投げきったとする。このときイニングあたりの失点のリーグ平均が0.5であれば100イニングに通常見込まれる失点は50であるので、少ない分の10がその投手のRSAA。
 失点率がリーグ平均より悪い投手はマイナスの値となる。RSAAの計算を失点率ではなく防御率で行うとPitching Runsという指標になり、これらはBRRCAAXR+の投手版とも言える。

 《計算式》
 RSAA = (リーグ失点率−失点率)/9×投球回




WHIP (Walks plus Hits per Innings Pitched)

 イニングあたりにどれだけ走者を許したかを表す指標。
 標準は1.20〜1.40程度で、数値が低いほど走者を出さず安定した投球をしたと評価される。
 走者の引継ぎの問題などで先発に比べて防御率による評価がしにくい救援投手の評価に比較的有効。

 《計算式》
 WHIP = (被安打+与四球)/投球回

 関連ページ:WHIPの解釈と応用




DIPS (Defense Independent Pitching Stats)

 守備の影響を排除した投手数値。
 「ホームラン以外のフェア打球は、ヒットになろうとなるまいと、投手には無関係なのではないか?」というボロス・マクラッケンの考えに基づき、本塁打以外の被安打は平準化した形で投手の各種数値を補正する。
 DIPSには派生的な計算方法が多数存在し、よく利用される簡便な計算法としてはタンゴタイガーのFIPがある。
 DIPSの理論は急進的で、発表当時大きな批判にさらされたが現在ではその有効性が認められている。

 関連ページ:DIPS再考




FIP (Fielding Independent Pitching)

 DIPSの理論に基づき、守備に依存しない被本塁打・与四球・奪三振から「守備から独立した防御率」を評価する指標。タンゴタイガー考案。
 それぞれのイベントに対する加重は得点価値に基づいている。

 《計算式》
 FIP = (13×被本塁打+3×(与四球−故意四球+与死球)−2×奪三振)÷投球回+C
 ※Cは「リーグ平均防御率−(13×被本塁打+3×(与四球−故意四球+与死球)−2×奪三振)÷投球回」(通常は3程度)。

 関連ページ:DIPS再考




DER (Defense Efficiency Ratio)

 チームが打たれた本塁打を除く打球について、野手がそのうち何割をアウトにしたかを表す、チーム守備力の指標。
 DERが高ければチームは相手の打球を安打にすることを許さず、よく出塁を防いだということになる。
 標準は概ね7割前後。打撃指標としてのBABIPを守備側の視点から見たもの、とも言える。

 《計算式》
 DER = (打席−安打−四球−死球−三振−失策)/(打席−本塁打−四球−死球−三振)

 類似:BABIP




RF (Range Factor)

 守備者の9イニングあたりのアウト関与数。多いほど守備範囲が広く優秀な守備者とされる。レンジファクター。
 通常同守備位置内での比較に使う。例えば、一試合に平均4.2個のアウトを奪う遊撃手と5.1個のアウトを奪う遊撃手では後者のほうが優秀であると考えられる。
 従来使用されてきた守備率と異なり積極的なアウト獲得を評価する。
 なお、日本においては現状RFの算出に必要な守備イニング数のデータが公的に手に入らないという問題がある。

 《計算式》
 RF = (刺殺+補殺)/守備イニング×9

 派生:RRF
 関連ページ:守備指標の話 RFとRRF




RRF (Relative Range Factor)

 RFの改良版。
 従来のRFに対し指摘されていた、投手の奪三振率による偏り、投手のゴロ/フライ傾向による偏り、左投手/右投手の投球回数割合による偏り、チーム守備力の影響、等についての補正を行っている。
 同じ守備位置のリーグ平均の選手に比べて何倍の能率でアウトを奪ったか、またリーグ平均の選手が同じ分出場するのに比べていくつ多くアウトを奪ったか(=Plus Plays)という数字にして出力される。

 《計算式》
 『RRFについて(日本プロ野球計量分析レポート&データ集)』を参照のこと

 関連用語:RF
 関連ページ:守備指標の話 RFとRRFゾーンシステムとレンジシステム




ゾーンレイティング (ZR,Zone Rating)

 責任範囲に飛んできた打球のうち何割をアウトにしたかで守備者の守備力を測る指標。
 守備者の責任となる打球のカウントは映像を基にひとつひとつ人間の手で行われているもので、大雑把な推定でノイズを多く含むRFに比べて信頼がおかれている。
 ただし今のところ日本ではゾーンレイティングは算出(少なくとも一般に公表は)されていない。
 基礎データの相違も含め複数のバージョンが存在するが、ひとつの例としてMLBに関しては書籍"THE FIELDING BIBLE"でゾーンレイティングを改良したリバイズドゾーンレイティング(Revised Zone Rating)を公開している。
 開発者であるジョン・デュワンは(リバイズド)ゾーンレイティングはプラスマイナスシステムより簡単な指標であるもののまた違う視点を提供するのに有用であると言及している。

 《計算式》
 ZR = Plays made / Balls In Zone

 派生:UZR プラスマイナスシステム
 関連ページ:ゾーンシステムとレンジシステム




プラスマイナスシステム (Plus/Minus System)

 ゾーンレイティングをさらに進化させ、打球の位置や種類、速度ごとにサンプルを細分化し精度を増した守備指標。
 通常の守備者が20%しか処理できないような打球を処理した場合20%を100%にした差分0.8を「平均的な守備者に比べ多く獲得したアウト(plus)」として記録し、処理できなかった場合0.2を「平均的な守備者に比べ獲得できなかったアウト(minus)」として記録するような方式をとっている。そうして記録された数字の合計が守備者のプラスナイマス(同じ守備位置の平均的な守備者に比べて、いくつ多くアウトをとったかという評価)となる。
 同じ「ゾーンに飛んできた打球」でも打球の速さなど難易度が異なる場合の不公平を解消しているためゾーンレイティングに比べ信頼度が高い。また、当初は獲得アウト数のみの評価だったが現在では内野手のバント処理・併殺処理能力、外野手の進塁阻止能力、捕手の失点阻止能力などを包括的に考慮した上で得点化するメソッドが発表されている(この数字は特にDefensive Runs Savedと呼ばれる)。
 作業の内容からして個人での算出はほぼ不可能であり、ゾーンレイティング同様日本では公開されていないのでNPBに関しての数字は得られない。

 類似:UZR
 関連ページ:ゾーンシステムとレンジシステム




UZR (Ultimate Zone Rating)

 守備の貢献を同守備位置の平均と比較して得点化した指標。
 UZRで10の守備者は、出場により平均的な守備者が守る場合に比べて失点を10減らしたと評価される。

 基本的な方法論はプラスマイナスシステムと共通しており、内野手はゴロの処理と併殺処理、外野手はフライの捕球と走者の進塁阻止を対象に、グラウンドを多数のゾーンに分割して打球の処理を計測したゾーンレイティングをベースとして打球速度など条件ごとに差別化した緻密な評価を行う。
 パークファクター・投手のゴロ/フライ傾向・打者の左右・塁状況等に対する補正を含む。捕手の評価はない。
 MLBの選手についてのUZRはFanGraphsで公開されている。

 類似:プラスマイナスシステム
 関連ページ:ゾーンシステムとレンジシステム




ピタゴラス勝率 (Pythagorean winning percentage)

 チームの総得点と総失点から期待される勝率を導き出す式。ビル・ジェイムズ考案。
 勝利と敗北の比は得点と失点の比の二乗に比例するという統計的な法則を表している。
 細かい改変バージョンが多数存在。名称は式の形が「ピタゴラスの定理」を思い起こさせるところから来ているとか。

 《計算式》
 ピタゴラス勝率=得点の二乗÷(得点の二乗+失点の二乗)

 関連用語:RPW
 関連ページ:得点を勝利に換算する




RPW (Runs Per Win)

 チームの勝利をひとつ増やすのに値する得点数。
 年度やリーグごとに平均得点数が異なり、得点の多いリーグでは1得点あたりの勝利への影響度が下がるためそれを補正するために使用される。
 ピート・パルマーが定義したRPWはイニングあたりの両チームの得点の平方根をとり10倍するというもの。
 それ以外にも求めるための方法は複数あるが、一般的には「10点で1勝」が基本の原則として認識されている(パルマーの手法では平均得点が4.5のときRPW=10となる)。
 BRをRPWで割れば打者が増やした勝利数(Batting Wins)が求められ、70勝70敗のチームが平均的な打者をBatting Wins +1の打者に取り替えた場合勝敗は71勝69敗になる計算。すなわち、概ね、10点の余剰を叩き出せばチームの勝利をひとつ増やしたと評価される。

 《計算式》
 RPW=10×SQRT{(得点+失点)÷イニング}

 《RPWから期待勝利数を計算する式》
 勝率=(得点−失点)÷RPW+(勝利+敗北)÷2

 関連用語:ピタゴラス勝率
 関連ページ:得点を勝利に換算する




WS (Win Shares)

 選手の総合的な貢献度を表す指標。選手が貢献した勝利数の3倍という形式で表される。すなわち、7勝分の貢献をした選手のWSは21。
 Win Shares(Win=勝利 Share=取り分)の名の通り、貢献の割合に応じてチームの勝利数を各選手に分配するという方法をとっている。打撃・投球・守備をまとめて評価しているため、あらゆる選手を同一の土俵で並べられるのが最大の特徴。
 結果的な貢献度を評価することを重視しており、MVP選定や殿堂入りの是非など事後における実績の評価の際に活用されることが多い。
 算出方法は、開発者のビル・ジェイムズ自身が欠点だと認めているほど複雑で、指標と同名の書籍に収められている。




WAR (Wins Above Replacement)

 選手の打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価し、一元的な数値で表す指標。野手も投手も同じ土俵で序列化することができる。
 評価は同じ出場機会分をリプレイスメント・レベルの選手が出場する場合に比べてどれだけチームの勝利を増やしたかという形で表される。
 いくつかのメソッドが発表されているが一般的な枠組みは「攻撃評価+守備評価+守備位置補正+投球評価+代替水準対比価値」となる。
 FanGraphsのWARでは、打撃はwOBA、守備はUZR、投球はFIPに基づいて評価される。




平均 (Mean,Average)

 いくつかのデータの数値を合計し個数で割ったもの。複数の数値を代表してそれらの数値の「中心」がどこにあるかをひとつの値で表す。
 平均にも複数種類があるが特に断りなく「平均」と言えば普通は上記の方法で求める算術平均のこと。
 仮に人間3人の年齢についてのデータに注目した場合でAさん26歳・Bさん32歳・Cさん23歳なら平均年齢は27となる。
 複数の数値の傾向をまとめる際頻繁に利用されるが、単に数理上の値である(例えばここの例でも27歳の人間というのは存在しない)ことや高い低いに関わらず大きく外れた値があると分布の中心から離れてその方向に引っ張られることに注意が必要。
 データの中心を表すために使用される統計には他に中央値、最頻値がある。




標準偏差 (Standard Deviation)

 いくつかの数値について、それらがどれだけ平均から散らばって分布しているかを表す。
 標準偏差の値が大きければばらつきが大きく、小さければばらつきが小さくデータが平均値付近に集まっていることになる。

 例:先発野手9人の打率が以下だとする。
 0.280 0.275 0.312 0.330 0.267 0.248 0.288 0.231 0.244
 打率の平均は0.275であり、各打者の平均との差(偏差)は以下になる。
 0.005 0.000 0.037 0.055 -0.008 -0.027 0.013 -0.044 -0.031
 標準偏差はこの「平均からの離れ具合」の平均をとりたいわけだが、このまま平均すると正負が打ち消しあいゼロになるので、それぞれの値を2乗して平均する(これは分散という統計値)。最後に、単位が2乗されてしまっているので分散の正の平方根をとると、標準偏差となる。
 ここでは標準偏差は0.030であり、各打者の平均打率からの離れ具合は標準的に0.030であると言える。

 データの散らばり具合を表す分散及び標準偏差は統計学では平均と同レベルで重要視される。




相関関係 (Correlation)

 ふたつのデータについて、片方が増えるとき他方も増えるという関係のこと。
 例えば多くの安打を放つほど出塁と進塁が多くなり得点が増えることから、打率と得点率の間には相関関係がある。
 データ間の相関関係の強さは、相関係数という指標により客観的に測定することができる。相関係数は1に近いほど相関関係が強いことを表し、0に近いほど相関関係がないことを表す。またマイナスの値は負の相関関係(片方が増えれば他方が減る)を意味する。
 相関関係があるからといってそれが必ずしも因果関係があることを意味するわけではないことには注意が必要。
 相関係数を2乗すると決定係数と呼ばれる統計数値となり、決定係数は片方の変動が他方の変動により何パーセント説明できるかを表す。




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